いざないトップ|
自分流スタイル|
できるかな?|
豆辞典|
事例研究|
田舎へ

農地法は怖くない
宮崎県川南町で農地法第3条の手続きをしたときの事例を報告します。
まず、都会の方が広い農地を取得する際には農地法第3条の手続きをして、農業者資格を取得する必要があります。ご購入を検討しているO様が役場に聞くと地元に住んでいない場合は農業大学を卒業していないと駄目だと言われたとか。そういうでたらめを言う役場職員は困ったものだ、と思いながらも役場という権威が言っていることを覆すのは私には容易でないと思った。実は農地法は最近の改正でかなり緩やかになり、移住者の営農資格取得は比較的簡単になっているのである。住民票を移して、その土地で実際に農耕を始めれば大体は認められる。実務的に必要な事をきちんと整えれば大丈夫だ。
困った私は飛行機代5万円をかけて現地へ飛んだ。
行った先は役所ではない。農業委員の方を様々なつてから紹介してもらって古参委員のY様のお宅に飛び込んだのである。都市と田舎の架け橋をしている弊社の仕事と今回の事情を必死で説明する私の話を一通り聞き終えると「わかりました。何とかしてみましょう」と言う答えが返ってきた。
私は「これで大丈夫、飛行機で飛んできた甲斐があった」と思った。
「え?Yさんのたった一言だけで何も解決していないのに?」ですか。
そう、Y様のような名士の方が手みやげ一つ持っていかずに、どこの馬の骨かも分からない私の話をまともに聞いてくれること自体が不思議でしょうね。でもそれには私なりのノウハウがあるのです。初対面の田舎の方でも打ち解けて私の頼み事を聞いてくださるという強力な武器が。ノウハウは秘密ですが、「私が自分のためでなく、ご購入希望者のお客様のために必死である」というこの事実は先方にかなりズシリと響くことはたしかです。ですから、お客様の存在が私にはいつも有り難く思えるのです。
Y氏の言葉どおり、1ヶ月後に農業委員会の許可が下りた。O様に報告するとともに今度は羽田で土産を買って再度Y氏にお礼を言いに行った。「昔、私が先例を作っておいたから大丈夫だったのですよ。住民票だけ移しておいて退職後に移住してくるのはその方の事情からして当然ではありませんか」「この町も農業者が減って困っているのです。是非、今後とも移住して農業をして下さる方をお連れ下さい」私がお礼を言おうと思っていたら、それ以上にY氏から心のこもった励ましをいただいた。帰りの機内でひとりでに流れてきた一筋の感涙を死ぬまで忘れることはないだろう。
この事例のポイント
- 農地は農地法の改正によって都市住民も取得しやすくなっている。
- 原則を踏まえて手順を尽くすことが大切だ。
- 最終的に頼りになるのはその土地の方。購入時には地元の方々と強いパイプを持つ不動産業者を選ぼう。
報告・文責:株式会社ふるさと企画・勝 利男
|